イベント制作会社の会議室で、ホワイトボードの前に立ち、机を囲む数人のスタッフと一緒に段取りを確認しているディレクター

イベント制作会議の進め方|段取り会議のアジェンダと決めることリスト

会議が終わったのに、なぜか胸のあたりが晴れない。そんな夕方はありませんか。

一時間以上話したはずなのに、決まったことをあとで思い返すと「あれ、結局どうするんだっけ」。宿題を誰が持ち帰ったのかも曖昧で、次の会議でまた同じ話を最初から——。制作が動き出すと、会議は増えるのに前に進んだ実感が薄い、という日が続くことがあります。

これは、あなたの仕切りが下手だからではありません。イベントの制作会議は、企画・見積・手配・進行・安全と、性質のちがう話題が一度に集まる場です。放っておけば散らかるのが当たり前で、散らからないようにあらかじめ枠を用意しておくかどうかの違いだけです。この記事では、会議を「決める場」に変えるアジェンダの組み方と、決めたことを次につなぐ残し方を、明日そのまま使えるかたちで一緒に整理していきます。

結論:制作会議は「①前回宿題の確認 → ②今日決めること(論点) → ③新しい課題の洗い出し → ④宿題と締切の割り振り」の4ブロックで組むと、時間内に前へ進みます。会議の目的は情報共有ではなく決定と宿題化。始める前にアジェンダに「今日決めること」を3〜5個だけ先に書き、終わりに「誰が・何を・いつまでに」を全員で読み上げて閉じます。最初から完璧な進行を目指さなくて大丈夫。まずはアジェンダを1枚用意することから始めれば十分です。

制作会議は、あなたの頭の中にある段取りを、チーム全員の共通認識に変える場です。うまく回れば、会議のあとに各自が迷わず動き出せます。逆に、決めることが曖昧なまま情報共有だけで終わると、判断はぜんぶあなたの手元に戻ってきてしまう。だからこそ、会議の設計は進行管理そのものだと考えて整えていきます。

まず、その会議は「何のための会議か」をそろえる

制作会議とひとことで言っても、実は種類がまざっています。ここを分けずに1回にまとめようとすると、時間が足りなくなって決めきれません。

イベントの制作会議は、進み具合に応じてだいたい次のように性質が変わります。

同じ「会議」でも、キックオフで香盤の分単位を詰めようとしても早すぎるし、直前会議で予算の大枠を蒸し返しても遅すぎます。招集する前に「今日はどの段階の会議か」を一言決めておくと、集める人も、用意する資料も、話す粒度も自然に決まります。まずはそこからそろえましょう。

アジェンダは「今日決めること」から先に書く

制作会議のアジェンダを前回宿題の確認・今日決めること・新しい課題・宿題の割り振りの4ブロックで示した図
アジェンダは4ブロック。真ん中の「今日決めること」を先に埋めると会議が締まる。

会議が長引くいちばんの原因は、アジェンダが「話す項目」の羅列になっていることです。「スケジュールについて」「会場について」と書くと、話は始まるけれど、どこで終わっていいか分からない。

そこでおすすめしたいのが、アジェンダを論点=決めることの形で書くことです。「会場について」ではなく「A案・B案どちらの会場で進めるか決める」。「スケジュールについて」ではなく「音響仕込みの日を1日にするか2日にするか決める」。決める形にした瞬間、会議はゴールが見えて締まります。

順番は、次の4ブロックで組むと迷いません。

  1. 前回宿題の確認(5〜10分):前回「誰が・何を・いつまでに」を、できた/できていないだけ確認。中身の議論はここではしない。
  2. 今日決めること(メイン):先に選んだ論点を3〜5個。1個ずつ「決定」まで持っていく。
  3. 新しい課題の洗い出し(10分):進める中で出てきた宿題・懸念を、決めずに書き出すだけ。
  4. 宿題と締切の割り振り(5分):出た宿題を「誰が・いつまでに」に落として閉じる。

「今日決めること」を3〜5個に絞るのがコツです。欲張って10個並べると、結局どれも中途半端になります。決めきれなかった論点は、次回の①に自動でスライドすると考えれば、絞ることに罪悪感はいりません。

論点は「決める・持ち帰る・共有する」で仕分ける

会議中、すべての話題をその場で決めようとすると苦しくなります。情報が足りない論点を無理に決めると、あとでひっくり返るからです。

話題が出たら、頭の中でこう仕分けてみてください。

この3つを口に出して仕分けるだけで、会議のテンポが変わります。「これは今日は持ち帰りにして、◯◯さんが会場に電話で確認してから次回決めましょう」と言えると、決めきれないモヤモヤが「進んでいる感覚」に変わります。決めないことを決めるのも、立派な前進です。

決めたことは「その場で・見える形で」残す

会議のあとに「言った・言わない」が起きるのは、記録が個人のメモに散っているからです。防ぐコツは、あとでまとめて議事録を書こうとしないこと。決まった瞬間に、その場で見える場所に書くのがいちばん確実です。

ホワイトボードでも、共有画面に映したメモでも構いません。決定事項を1行書くたびに、参加者が同じ画面を見て「これで合っていますか」と確認できる状態にします。残すのは、凝った議事録である必要はありません。次の3つが1枚にあれば十分です。

会議の最後の5分で、この「宿題」の欄を全員で読み上げてから解散する。これだけで、持ち帰りの取りこぼしがぐっと減ります。読み上げると、引き受けた本人も締切を自分の言葉で確認できるので、「聞いていなかった」がなくなります。

明日の会議でやること

いきなり全部を変えなくて大丈夫です。次の会議で、まずこの3つだけ試してみてください。

  1. アジェンダに「今日決めること」を3〜5個、先に書く:話す項目ではなく、決める論点の形で。
  2. 最初の5分で前回宿題の◯×だけ確認する:中身の議論に入らず、進捗の事実確認だけ。
  3. 最後の5分で「誰が・何を・いつまでに」を読み上げて閉じる:その場で見える形に残してから解散。

この3つを回すだけで、会議は「話す場」から「決まる場」に近づきます。慣れてきたら、論点の仕分け(決める/持ち帰る/共有する)や、会議の種類の切り分けも足していけば十分です。

会議前後のチェックリスト

現場でそのまま使えるように、確認項目に落としておきます。

会議の前に

会議の中で

会議の後に

すべてを一度にやろうとしなくて大丈夫です。まずは「決めることを先に書く」と「最後に宿題を読み上げる」の2つだけでも、会議の手応えは変わります。

会議を終えて資料を手にオフィスを出ていく制作スタッフたちの、少し晴れやかな後ろ姿

会議は、一度で完璧に仕切れるものではありません。今日ひとつアジェンダの書き方を変えて、次の会議でまた手応えを確かめる。その積み重ねで、チームは少しずつ「決められる会議体」に育っていきます。決めることを先に置けた時点で、もう前に進んでいます。

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