
イベントのオリエン確認項目リスト|聞き漏らしを防ぐ20の質問
オリエンの帰り道に、「あれ、予算の上限って結局いくらだったっけ」と手帳をめくった経験はありませんか。
オリエン(与件ヒアリング)は、案件のいちばん最初にあって、いちばん影響が長く続く場面です。ここで聞き漏らした一項目が、企画書を作り直す原因になり、見積の前提を崩し、当日の段取りまで揺らします。逆に、最初の一回でしっかり要点を持ち帰れれば、その後の作業はずっと楽になります。
この記事では、オリエンで何を聞けば後の手戻りを防げるのかを、現場でそのまま使える質問リストにして一緒に整理していきます。たくさん質問することが目的ではありません。「これだけは外せない」を決めておくための備忘録として使ってください。
結論:オリエンで持ち帰るべきは、①目的(なぜやるのか)②来場者(誰に届けるのか)③成功の定義/KPI(何をもって成功とするか)④予算と日程⑤会場と制約⑥決裁と進め方の6つです。とくに「目的」と「成功の定義」を相手の言葉で引き出せると、企画も見積もブレません。全部を一度の打ち合わせで完璧に埋めなくて大丈夫。聞けなかったことは「持ち帰り」として後日確認すれば十分です。
※確認すべき項目は案件の規模や種類で変わります。本記事は一般的なヒアリングの型です。最終的な与件は、必ず主催者・クライアントの書面(オリエンシート・RFP等)でご確認ください。
オリエンは、相手を質問攻めにする場ではありません。相手がまだ言葉にできていない「本当にやりたいこと」を、一緒に見つけにいく時間です。だから、項目を埋めることだけに集中せず、「それはなぜですか」を一つ挟むだけで、持ち帰る企画の芯がぐっと太くなります。
まず、聞くことを「6つの箱」で持つ

打ち合わせで思いつくまま質問していくと、話があちこちに飛んで、終わってから「肝心のところを聞けていない」となりがちです。先に「持ち帰る箱」を6つ決めておき、その中身を埋めるつもりで聞くと、漏れに気づきやすくなります。
- 目的:なぜこのイベントをやるのか。背景にある課題、達成したいこと。
- 来場者:誰に来てほしいのか。人数、属性、来場者にどう感じてほしいか。
- 成功の定義/KPI:何をもって「やってよかった」とするか。数字で測れるもの・測れないもの。
- 予算と日程:使える金額の範囲、開催希望日、決めなければいけない締切。
- 会場と制約:会場の有無・候補、立地、使える設備、避けたい条件。
- 決裁と進め方:誰が最終判断するか、報告の頻度、窓口は誰か。
この6箱が頭に入っていれば、相手の話を聞きながら「これは目的、これは制約」と仕分けられます。まず箱を決める。中身は対話の中で埋めていけば大丈夫です。
最近は、この6箱に「配信があるか」という軸を一つ足して聞いておくと安心です。リアル開催だけなのか、オンライン配信もあるのか、両方のハイブリッドなのかで、会場(回線・カメラ位置)も人員も見積も大きく変わります。配信ありなら、来場者とは別に視聴者をどう扱うか(視聴者対応・コメント監視・オンライン登壇者がいるか)、視聴のチケット・申込・決済をどうするか、収録やアーカイブ公開が要るかまで、入口で一言確認しておくと後の手戻りが減ります。
「目的」と「成功の定義」は、相手の言葉で引き出す
オリエンでいちばん大事で、いちばん飛ばされやすいのが、この2つです。「集客イベントをやりたい」という依頼の裏には、必ず理由があります。新商品を知ってほしいのか、既存顧客との関係を深めたいのか、採用につなげたいのか。目的が違えば、同じ「集客イベント」でも作るものはまったく変わります。
だから、こう聞いてみます。
- 「このイベントで、最終的にどうなったら成功と言えますか」
- 「もしこれをやらなかったら、何が困りますか」
- 「社内では、どんな課題があってこの話が出てきたのですか」
相手も、最初から明確な答えを持っているとは限りません。話しながら整理されていくことも多いので、急かさず、出てきた言葉をそのままメモします。「来場者数」「売上」「認知」「満足度」など、相手が口にした"測りたいもの"は、後でKPIに翻訳する材料になります。ここを相手の言葉で持ち帰れると、企画書の軸がぶれません。
数字の話が出たら、それも控えておきます。「去年は300人だった」「今年は新規を増やしたい」——こうした一言が、規模や演出の方向を決める手がかりになります。
予算・日程・会場は「決まっていること」と「これから」を分ける

予算・日程・会場は、案件の前提を固める三本柱です。聞くときのコツは、それぞれを「もう決まっていること」と「まだ動かせること」に分けることです。ここが曖昧なまま進むと、提案してから「予算が倍違った」「その日は会場が取れない」と前提が崩れます。
- 予算:総額の上限はいくらか。税込か税抜か。予備費は別枠か込みか。どこまでが制作費の範囲か(会場費・飲食費は別予算のことも多い)。
- 日程:開催希望日と、その日が動かせるか。雨天など天候の影響を受けるか。企画・見積をいつまでに出す必要があるか。
- 会場:すでに押さえているか、これから探すか。候補地、立地の希望、収容人数、避けたい場所。
予算は特に、相手も言いにくいことがあります。「だいたいで構いません」「過去の同規模だとこのくらいでした」と幅で聞くと答えやすくなります。金額の上限が見えないまま企画すると、豪華すぎて没になるか、削りすぎて物足りなくなるか、どちらかになりがちです。早めにレンジだけでも掴んでおくと、提案の精度が上がります。
決裁と進め方を聞くと、後半の混乱が減る
意外と見落とされるのが、「誰が、どう決めるのか」です。目の前の担当者が決裁者とは限りません。提案を持ち帰った先に上司や役員がいて、そこで方針が変わることはよくあります。最初にここを押さえておくと、後半の「やっぱり振り出しに」を減らせます。
- 最終的に承認するのは誰か。途中で誰の確認が必要か。
- 報告・相談はどのくらいの頻度で、どの手段(メール/打ち合わせ)が良いか。
- 窓口は誰か。複数いる場合、優先して連絡すべき人は誰か。
- 主催者側で別の業者(会場・ケータリング等)が決まっているか。
これは詰問ではなく、「スムーズに進めるための確認」として聞けば自然です。「ご報告はどのくらいの頻度がご都合よいですか」「最終的なご判断は、◯◯様にご確認いただく形でしょうか」——この一手間で、進行中のすれ違いが目に見えて減ります。
明日やること:オリエン前に「聞くことリスト」を1枚用意する
オリエンの質は、その場の頑張りより事前の準備で決まります。明日できる準備は、これだけで十分です。
- 質問リストを1枚にまとめる:下のチェックリストを印刷するか、自分の様式に整える。手元にあるだけで聞き漏らしが減ります。
- 相手の業界・前回実績を軽く調べる:分かる範囲で背景を入れておくと、的を射た質問ができ、信頼にもつながります。
- メモの取り方を決める:6つの箱を見出しにしたメモ用紙を用意すると、その場で仕分けながら書けます。
- 「持ち帰り」欄を作っておく:その場で答えが出ない項目を書き留める欄を用意し、後日確認する前提にしておく。
- オリエンシートをもらえるか確認する:相手が用意していれば、それを土台に不足分だけ聞けば効率的です。
準備物がそろっていれば、当日は相手の話を聞くことに集中できます。即答できない項目は「持ち帰り」と書いて後で確認すれば大丈夫。一度で全部を聞き切ろうと気負わなくて構いません。
オリエン確認項目チェックリスト(外せない20の質問)
打ち合わせに持っていって、その場で潰していくための一覧です。すべてを一度で埋められなくても構いません。
目的・背景
- このイベントをやる理由・背景は何か
- 最終的にどうなったら成功と言えるか
- やらなかった場合、何が困るか
来場者
- 誰に来てほしいか(属性・想定人数)
- 来場者にどう感じてほしい・行動してほしいか
- 招待制か一般公開か、集客は誰が担うか
- 配信があるか(リアルのみ/オンライン/ハイブリッド)。ある場合、視聴者対応・コメント監視・オンライン登壇者の有無、視聴チケットや決済、アーカイブの要否
成功の定義・KPI
- 成果を測る指標は何か(来場数・売上・満足度など)
- 過去実績や目標数値はあるか
予算
- 総額の上限はいくらか(税込/税抜)
- 制作費の範囲はどこまでか(会場費・飲食費は別か)
- 予備費の扱い
日程
- 開催希望日と、動かせるか
- 企画・見積の提出期限
- 天候など外的要因の影響
会場・制約
- 会場は確定か未定か、候補・希望立地
- 収容人数と避けたい条件
- すでに決まっている業者・設備があるか
決裁・進め方
- 最終承認は誰か、途中で誰の確認が要るか
- 報告の頻度・手段と窓口
- 次回打ち合わせ・今後のスケジュール
埋まらなかった項目は「持ち帰り」として、後日メールなどで確認すれば大丈夫です。一度で完璧を目指さず、案件を重ねながら、自分の現場に合った様式に育てていきましょう。
よければ、こちらも
オリエンで持ち帰った与件は、企画書・見積・進行のすべての土台になります。ここが固まると、その先の作業がぐっと組みやすくなります。
- 企画書に落とすときは:提案が通るイベント企画書の構成と1枚サマリーの作り方
- 見積に落とすときは:イベント見積書の内訳|費目の組み立て方と抜け漏れ防止チェックリスト
- 会場の前提を固めるときは:イベント会場下見チェックリスト|場踏みで採寸する15の確認ポイント
- イベント制作ノートについて:編集部の考え方

オリエンは、案件の不安を最初にまとめて受け止める時間です。最初から全部を完璧に聞き出せなくて構いません。目的と成功の定義を相手の言葉で持ち帰り、予算・日程・会場の前提を分け、決裁の流れを確かめる。その一枚のメモが、この先の企画と見積を確実に楽にしてくれます。
聞き漏らしに気づいて「もう一度確認しよう」と思えた時点で、あなたはもう、手戻りのない企画づくりを始めています。