
イベント企画書の構成|提案が通る章立てと1枚サマリーの作り方
白紙の1ページ目を前に、カーソルが止まることはありませんか。
「オリエンは聞いた。やりたいこともある。でも、どこから書き始めれば伝わるんだろう」。頭の中に案はあるのに、いざ企画書にしようとすると順番が決まらない——それは、あなたの構成力が足りないからではありません。イベントの企画書は載せたい情報が多く、案件ごとに重点が変わるから、誰でも最初の組み立てで迷います。
この記事では、相手に伝わって提案が通りやすい企画書の章立てと、最初の1枚で全体が伝わるサマリーの作り方を、明日そのまま使える順番で一緒に整理していきます。
結論:企画書は「背景・目的 → コンセプト → 実施概要 → 体制・進行 → 予算 → スケジュール → 期待効果」の順で組むと、相手が判断しやすくなります。そして冒頭に、全体を1枚にまとめたサマリーを置く。読み手はまず1枚で全体像をつかみ、必要な章だけ深く読めます。最初から作り込まなくて大丈夫。骨組みの章立てを先に置けば、あとは一つずつ埋めていけます。
※様式に決まった正解はありません。会社の慣習・提案先・案件規模で最適な章立ては変わります。本記事は一般的な一例です。自分の現場に合わせて足し引きしてください。
企画書は、自分のアイデアを並べる紙ではありません。「なぜこのイベントをやるのか」「やると何が良くなるのか」を、相手と一緒に確かめるための1冊です。だから、伝わる順番で組まれた企画書は、そのまま提案の場での安心につながります。
まず、企画書は「相手の判断を助ける順番」で並べる

いきなり「ステージはこう作って、演出はこうで」と書き始めると、読み手は「で、これは何のため?」と置いていかれます。先に「なぜ・何を目指すか」を共有してから中身に入るほうが、提案はずっと伝わります。迷ったら、次の章立てから始めてみてください。
- 背景・目的:なぜ今このイベントなのか。主催者が解決したい課題と、達成したいこと。
- コンセプト:イベントを一言で表す軸。来場者にどんな体験を届け、どう感じてほしいか。
- 実施概要:日時・会場・規模・想定来場者・実施形式など、5W1Hの事実。
- 体制・進行:誰がどう運営するか。当日の進行イメージと、安全・運営の考え方(救護導線・避難・近隣/騒音・交通/警備など最低限の危機管理観点を一行でも)。
- 予算:概算費用の内訳。何にいくらかかり、何を含むか。
- スケジュール:当日までの準備工程と、主要なマイルストーン。
- 期待効果:実施で何が得られるか。可能なら振り返りの指標(KPI)も。
任意で追加できるセクション(必要なときだけ薄く足す)
- 集客・広報計画
- リスク・法令・許認可・保険(公式情報で確認)
- 前提条件とスコープ外(含む/含まない)
- 収支計画・スポンサー枠(有料・協賛案件のみ)
- データ取得・同意と効果測定方法(KPIと計測手段)
調達案件やRFP対応では、相手指定の項目と本記事の章立てを対応づけた「マッピング表(参考)」を付録に置くと、すり合わせが速くなります。
1枚サマリーで、最初に全体像を渡す

提案先の担当者や決裁者は、忙しい中であなたの企画書を開きます。何十ページもある資料を、最初から順に読んでくれるとは限りません。だから、冒頭に「これ1枚で全体が分かる」サマリーを置くと、読み手はまず全体像をつかんでから、気になる章だけ深く読めます。
1枚サマリーに載せたいのは、次の要素です。欲張らず、この1枚で「やること・狙い・規模感」が伝われば十分です。
- タイトルとコンセプト(一言)
- 目的・ターゲット
- 実施概要(日時・会場・想定規模)
- 概算予算(総額レンジでも可)
- 当日までの大きな流れ(主要マイルストーンを数点)
時間が極端にない初回提案で1枚サマリーが間に合わない場合は、表紙の1/2ページを使って「提案要旨ボックス」を置くのが現実的です。
- 提案要旨ボックス(例):「目的」「コンセプト一言」「規模感(来場者/会期/方式)」「概算レンジ」「主要マイルストーン(確定・制作開始・本番)」を一行ずつ。
コンセプトは「来場者の体験」で語る
企画書でいちばん差がつくのが、コンセプトの章です。ここを「華やかなイベントにします」のような形容詞で終わらせると、相手には伝わりません。コンセプトは、来場者がどんな体験をして、どんな気持ちで帰るかで語ると、ぐっと具体的になります。
たとえば「最新技術を体感できる展示会」より、「来場者が、自分の仕事に持ち帰れる発見を3つ見つけて帰れる場」のほうが、当日の作り方まで想像できます。コンセプトが具体的だと、その後の実施概要・演出・予算の判断軸が一本通り、企画書全体に芯ができます。
そして、コンセプトは目的とつながっていることが大切です。主催者の目的に対して、コンセプトが答えになっている——この線がつながっていると、読み手は「なるほど、だからこの企画なのか」と納得できます。
予算とスケジュールは、ざっくりでも必ず載せる
予算とスケジュールは、企画段階では「まだ固まっていないから」と省きたくなる章です。でも、提案先がいちばん知りたいのは、案外この2つだったりします。概算でいいので、必ず載せておきましょう。
予算は、総額の目安と大きな費目の配分が見えれば十分です。レンジ(幅)で示すのも誠実なやり方です。あわせて、次を短く添えると社内決裁が通りやすくなります。
- 表記:税込/税別を明記
- 含む/含まない:運営費・制作費・会場費・旅費交通費などの扱い
- 主要な変動要因(3点程度):来場者数レンジ、機材仕様、運搬距離など
- 見積前提:電源・回線手配の責任分界、稼働時間帯、必要人員の想定 など
- 未定はTBDとし、次版で更新予定の旨を明記
スケジュールは、当日までの大きな工程を時系列で。「企画確定 → 会場・協力会社の手配 → 制作・準備 → リハーサル → 本番 → 撤収・報告」といった節目と目安時期を置きます。加えて、依存関係と決め待ちを小さな表で添えると実務が回ります。
- 依存関係・決め待ちミニ表(提案):項目/期限/責任
- 会場確定/申込・支払期限/担当
- 許認可・申請期限/所管窓口の締切/担当
- 制作リードタイム/入稿・発注の最終日/担当
ここで「今日からどう進むか」が見えると、企画書はぐっと現実味を帯びます。完璧な精度は不要です。
明日やること:章の見出しから埋めて骨組みを作る
完成版をいきなり目指すと、手が止まります。明日まず手をつけるなら、この順番だけで十分です。
- 資料の1ページ目に、上の7つの章の見出しを縦に並べる(任意セクションは枠だけ用意)。
- オリエンで聞いたことを、各章に思いつくまま箇条書きで放り込む(文章は後でOK)。
- 「背景・目的」と「コンセプト」を先に短く言葉にして、2つがつながっているかを確かめる。
- 概算予算は総額レンジで入れ、税込/税別・主要変動要因・前提を一行で添える。
- スケジュールに主要マイルストーンと、依存関係・決め待ちミニ表の叩き台を置く。
- 表紙に提案先名・日付・版(バージョン)・NDA/社外秘や再配布不可の表記、末尾かフッターに改定履歴の置き場を明記。
- 可能なら、各章の要点を抜き出して冒頭の1枚サマリーにまとめる(間に合わなければ提案要旨ボックス)。
調達案件やRFP対応なら、付録に「本資料の章立て ⇆ 相手RFP項目」マッピング表(参考)を置くと、相手指定フォーマットと両立しやすくなります。
企画書チェックリスト(提案前に見る)
時間が極端にない初回提案では、次の最低ラインを満たせば前に進めます(赤ポチ3)。
- ・目的とコンセプトの整合が一文で説明できる
- ・5W1Hの骨子(日時・会場候補・規模・方式)
- ・概算レンジ or 予算上限+主要変動要因(3点)
優先順位 1) 目的・コンセプト → 2) 5W1H → 3) 概算レンジ → 4) 主要マイルストーン(確定・制作開始・本番) → 5) 1枚サマリー
できないときの代替
- 1枚サマリー → 表紙の提案要旨ボックス
- 概算の内訳化 → 総額レンジ+含む/含まない・前提の箇条書き
- 効果数値 → 定性効果の言明+計測案はTBDで置き、次版で更新
免除条件(次版へ繰り越し可)
- RFI段階/探索提案、社内レビューまで24時間未満、相手指定フォーマット厳守時
- この場合は、前提・変動要因・スコープ外(含む/含まない)を明記して提出
通常の提出前チェック
- 背景・目的が、主催者の言葉で書かれている(自社都合に寄っていない)
- コンセプトが、来場者の体験で語られている(形容詞だけで終わっていない)
- 目的とコンセプトが一本の線でつながっている
- 実施概要に5W1H(日時・会場・規模・想定来場者・方式)が入っている
- 概算予算が、総額レンジと大きな費目、税込/税別、含む/含まない、主要変動要因・前提を含む
- スケジュールに主要マイルストーンと、依存関係・決め待ちミニ表がある
- 冒頭に、1枚で全体が伝わるサマリー(または提案要旨ボックス)がある
- 効果や数値は断定しすぎず、根拠や前提を添えている(同意・計測方法は公式情報で確認)
- 安全・運営の最低限の観点(救護導線・避難・近隣/騒音・交通/警備)が示されている
- 表紙に提案先の社名・日付・版(バージョン)、NDA/社外秘・再配布不可の表記が入っている
- 改定履歴(版管理)の置き場所が明記されている(末尾付録/フッター等)
すべてを一度で満たせなくても大丈夫です。骨組みと前提が見えていれば、提案の場で会話を重ねながら、企画書は育ちます。次版で整える前提をはっきり書くことが、現場ではいちばんの誠実さになります。
よければ、こちらも
企画書は、案件の出発点になる1枚です。ここが固まると、コンセプトをKPIに翻訳する手順や、オリエンの聞き取り項目、概算から実行への見積の出し分けも組みやすくなります。見積書の費目の組み立て方は、イベント見積書の内訳|費目の組み立て方と抜け漏れ防止チェックリストも合わせてどうぞ。当日の進行はイベント香盤表の作り方|当日を止めない進行台本チェックリストで整理しています。
- イベント制作ノートについて:編集部の考え方

企画書は、アイデアの量で勝負する紙ではありません。「なぜやるか」と「何を目指すか」を、相手に伝わる順番で並べた1冊です。最初から完璧でなくて構いません。章立てを置いて、一つずつ埋めて、最後に1枚サマリーで包む。その積み重ねで、企画書は提案の場で頼れる味方になります。
白紙のページを前に順番を考えはじめた時点で、あなたはもう、相手に伝わる提案の第一歩を踏み出しています。