本番前日の会場で、香盤表を手にステージ上のスタッフへ静かに合図を送るイベントディレクターの横顔と手元

イベントリハーサルの段取り|当日を止めないチェックの順番

リハーサル当日。会場に入った瞬間から、確認したいことが一気に押し寄せてきませんか。

「音、ちゃんと出るかな」「登壇者の出ハケ、これで合ってる?」「映像のきっかけ、共有できてたっけ」。 頭の中ではやることが見えているのに、どこから手をつけるか迷う——それは、あなたの準備不足ではありません。リハーサルは限られた時間に確認項目が集中するので、誰でもそうなります。

この記事では、リハーサルを「どの順番で・何を確認するか」を、明日そのまま使える段取りとチェックリストで一緒に整理していきます。

結論:リハーサルは「①各パートの単体確認(ドライ)→②機材ときっかけの確認(テクニカル)→③頭から通す(通しリハ)」の順で進めると、限られた時間でも抜けが出にくくなります。最初に時間配分(香盤)を全員で共有し、止めて直す場面と止めずに流す場面をあらかじめ決めておくと、リハそのものが押しにくくなります。すべてを完璧に通せなくても、止まると困る箇所から確認すれば大丈夫です。

※リハーサルの進め方に決まった様式はありません。会場・座組み・案件規模で必要な工程は変わります。本記事は一般的な段取りの一例として、自分の現場に合わせて足し引きしてください。

リハーサルは、本番のためだけの予行演習ではありません。当日に「ここで止まるかもしれない」という箇所を、安全な場所で先に見つけておく時間です。だから、きれいに通すことより、止まりそうな箇所を洗い出すことを優先します。

まず、リハで「何を確かめたいか」を全員でそろえる

リハーサルをドライ・テクニカル・通しの3段階で進める流れを示した概念図
リハは「単体確認→機材ときっかけ→頭から通す」の順に進めると抜けにくい。

リハーサルが押す一番の原因は、目的がそろっていないことです。ディレクターは段取りを確認したい、登壇者は喋りを確かめたい、音響は音を作り込みたい——それぞれが別々の目的で動くと、限られた時間が削り合いになります。

だから最初に、今日のリハで何を確かめるかを口頭でひと言そろえます。「今日は出ハケときっかけの確認が最優先。喋りの中身は各自で詰めてもらう」というように、優先順位を先に宣言しておく。これだけで、現場の判断が速くなります。

あわせて、その日の香盤表(進行台本)を全員が手元に持っている状態にします。香盤表の組み方そのものは イベント香盤表の作り方 で詳しく整理していますので、まだ1枚にまとまっていない場合は先にそちらを見てください。リハは、香盤表を実際の音・照明・動きで埋めていく時間でもあります。

順番①:各パートを単体で確認する(ドライリハ)

いきなり頭から通すと、最初のトラブルで止まったまま時間が溶けます。まずは、音や照明を本格的に絡めず、動きと段取りだけを確認するドライリハから始めると安全です。

ここで見つけたいのは「物理的に間に合わない箇所」です。出ハケの導線が交差していないか、転換に人手が足りていないか。これは音や照明を足す前に直しておくと、あとの工程がぐっと楽になります。動きが固まってから機材を乗せる、という順番が結局いちばん速いです。

順番②:機材ときっかけを確認する(テクニカルリハ)

動きの段取りが見えたら、次に音響・照明・映像のきっかけ(キュー)を合わせていきます。ここがリハーサルの本番とも言える工程です。

きっかけは、口頭の合図だけに頼ると本番でズレます。「SE①、3、2、1で」というように、香盤表に書いた言葉でそのまま声に出して合わせると、本番の再現性が上がります。ここで詰めた内容は香盤表に書き戻して、版を更新しておきましょう。

特に映像・音・照明がぴったり合う見せ場(オープニングやエンディング)は、ここだけ繰り返し確認する価値があります。逆に、止まっても大きな影響がない箇所は、時間が押していれば「口頭確認」で割り切るのも判断のうちです。

順番③:頭から通す(通しリハ)

最後に、できる範囲で頭から本番どおりに通します。途中で気になっても、よほど致命的でなければ止めずに最後まで流すのがコツです。止めて直すのは①②でやり切り、通しでは「全体が時間どおりに流れるか」を見ます。

通しながら、ストップウォッチで各セクションの実際の尺を測ります。香盤の予定より延びた箇所、巻けた箇所を書き留めておくと、本番前にバッファ(余白)の置き直しができます。押した箇所が分かれば、当日「ここは巻く前提」と心の準備ができます。

時間が足りずに全部は通せないこともあります。そのときは、止まると一番困る箇所——オープニング、転換が多い場面、見せ場——を優先して通してください。すべてを通せなくても、当日に止まりやすい箇所を確認できていれば十分です。

明日やること:リハの進行表を15分で作る

リハーサル自体も、行き当たりばったりだと押します。前日までにこの順番で、簡単なリハ進行表を用意しておくと当日が落ち着きます。

  1. リハに使える時間(入り〜撤収)を書き出す。
  2. その中を「ドライ/テクニカル/通し」にざっくり時間配分する。
  3. 各工程で最優先で確認することを1〜2行で書く。
  4. 止めて直す箇所と、流す箇所の線引きをメモする。
  5. 登壇者や外部スタッフの入り時間を逆算して共有する。

ここまでで、リハの骨組みは立ちます。当日は、この進行表を香盤表と一緒に手元に置いておけば、「次に何を確認するか」で迷わずにすみます。

リハーサルチェックリスト(当日その場で見る)

リハの最中、または終わりに、ここだけ確認しておくと本番への不安が減ります。

すべてを一度のリハで満たせなくても大丈夫です。止まると困る箇所から順に潰していけば、本番には「確認できている」という静かな自信が手元に残ります。

よければ、こちらも

リハーサルは、香盤表を実際の現場で検証する時間です。ここで詰めた内容は香盤表に書き戻し、当日スタッフの配置表やインカムのコールにもつなげていけます。これらは順に記事にしていきますので、合わせて整えていきましょう。

リハーサルを終えた夕方の会場で、香盤表を手にうなずき合うスタッフたちの穏やかな表情

リハーサルは、本番を完璧に再現する場ではなく、当日に止まりそうな箇所を先に見つけておく時間です。きれいに通すことより、止まりそうな箇所を一つずつ確かめる。その積み重ねが、本番の落ち着きになります。

確認した箇所が一つ増えるたび、あなたは当日を止めない準備を、確実に進めています。

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