本番終了後、ホワイトボードを前にスタッフと落ち着いた雰囲気でイベントの振り返りをしているイベント制作ディレクター

イベント反省会のやり方|KPTで次案件に活かす振り返りの進め方

本番が無事に終わって、数日後にスタッフを集めた反省会。ところが「大きな事故もなかったし、お疲れさまでした」で15分ほど雑談して解散——気づけば、次の案件でまた同じ搬入渋滞や同じ押しを繰り返している。そんな経験はありませんか。

反省会は、やり方を決めずに開くと、たいてい二つのどちらかに転びます。ひとつは、うまくいったことだけを確認して終わる「お疲れさま会」。もうひとつは、押した原因や抜けを誰かのせいにしてしまう「犯人探し」。前者は学びが残らず、後者はスタッフが次から本音を言わなくなります。どちらも、せっかくの一回の本番から得られたはずのものを取りこぼしてしまいます。

この記事では、反省会を「気まずい時間」でも「ただの雑談」でもなく、次の案件にちゃんと活きる振り返りにするための進め方を、KPTという型に沿って一緒に整理します。犯人を探すためではなく、現場が積み上げた気づきを持ち帰るための時間として使ってください。

結論:反省会は「良し悪しを裁く場」ではなく、事実を出し合って次の一手を決める場です。おすすめは KPT という型。K(Keep=続けたいこと)→ P(Problem=困ったこと)→ T(Try=次に試すこと) の順で出していくだけの、付箋とホワイトボードがあればできる方法です。最低限、①本番の記憶が新しいうちに開く ②人ではなく出来事を対象にする(犯人探しにしない)③KeepとTryまで必ず出す ④Tryは「次に誰が何をするか」まで一言で決める ⑤決めたことを1枚に残して次案件の準備で開く——この5つを押さえれば、反省会は「やってよかった」に変わります。全部をきれいにまとめようとしなくて大丈夫。困ったことを一つ、次に試すことに変えられれば、それでこの会は成功です。

※KPTは振り返りの一般的なフレームです。会の進め方やまとめ方に唯一の正解はありません。案件の規模やチームに合わせて、項目や時間配分は自由に調整してください。

反省会は、本番の「後片づけ」ではありません。今回の現場でスタッフが感じた小さな違和感やヒヤリを、次の案件の段取りに変えるための、いちばん安い改善の機会です。だからこそ、気まずくならない型を持っておくと、毎回きちんと学びが残ります。

まず、KPTという型を知っておく

KeepとProblemを出したうえで、そこから次に試すTryを導く振り返りの流れを示した概念図
続けたいこと・困ったことを出し、そこから「次に試すこと」を導く。

KPTは、振り返りでよく使われるシンプルな型です。名前は次の3つの頭文字を取っています。

順番は Keep → Problem → Try が基本です。最初に良かったことから出すと、場があたたまり、そのあとの困りごとも言いやすくなります。いきなりProblemから始めると、どうしても反省会が重くなり、口が重くなりがちです。

大事なのは、ProblemをProblemのまま終わらせないこと。「搬入で車が詰まった」で止めず、「次は搬入枠を30分ずらして試す」というTryまで持っていく。ここまで来て、はじめて反省会が次の案件の準備につながります。

反省会は「記憶が新しいうち」に短く開く

反省会がいちばん効くのは、規模の大きさでも時間の長さでもなく、鮮度です。本番から時間が空くほど、細かい気づきは忘れられ、「まあ、だいたいうまくいった」だけが残ります。

反省会は「重い会議」にしないほうが続きます。撤収のときに残した引き継ぎメモ(イベント撤収チェックリスト|原状回復まで漏れなく終える段取り)を手元に置いて、その延長で軽く開くくらいがちょうどいい温度です。

犯人探しにしない——「人」ではなく「出来事」を見る

反省会がいちばん失敗するのは、Problemを出す段で空気が固まるときです。「あそこで押したのは誰々さんの進行が」と名前が出た瞬間、その人は身構え、周りも本音を引っ込めます。次からは、誰も困ったことを言わなくなります。

固くならないために、進行役(あなた)が最初に一言、置いておくと効きます。「今日は人を責める会ではなく、次に同じことで困らないための会です」。この前置きがあるだけで、ずいぶん話しやすくなります。

現場のスタッフは、多くが掛け持ちや短期で動いてくれている仲間です。次もまた一緒にやりたいと思ってもらうためにも、反省会は「安心して本音を出せる場」であることが、何より大切です。

Tryは「次に誰が何をするか」まで一言で決める

困ったことを、次に誰が何をするかという具体的な次アクションに変換するようすを示した図
「困った」で止めず、「次にこうする」まで一言で決める。

反省会で出たTryが「気をつける」「もっと早めに動く」で終わると、次の案件では何も変わりません。心がけは、忙しい本番のなかで真っ先に飛んでしまうからです。Tryは、次に動ける粒まで具体化しておきます。

たとえばProblemが「搬入で車両が詰まって設営が押した」なら、Tryは「次回は搬入時間を協力会社ごとに30分ずらして割り付ける」。ここまで決めれば、次の搬入出計画と車両・台車動線の組み方にそのまま反映できます。困りごとを、次の段取りの一行に変える——これがKPTのいちばんおいしいところです。

決めたことは「1枚」に残して、次案件の最初に開く

せっかく良い振り返りができても、その場で消えてしまえば、次の案件でまたゼロから同じ苦労を繰り返します。反省会の最後のひと手間は、決めたことを残すことです。

反省会の値打ちは、会が終わった瞬間ではなく、次の案件の準備でそれを開いたときに出ます。「前回のTry、今回どうする?」——この一言から次の段取りを始められたら、あなたのチームは一案件ごとに確実に強くなっていきます。

明日から試せる、小さな一歩

反省会の型を、いきなり完璧に回す必要はありません。次の案件で、まず一つだけ試すとしたら、この順で十分です。

  1. 本番後、記憶が新しいうちに30分だけ枠を取る:長くしない。KPTを出すことだけを目的にする。
  2. Keepから始める:良かったことを先に出して、場をあたためてからProblemへ。
  3. Tryを3つに絞って、1枚に残す:次に誰が何をするか、だけ決める。

この3つができれば、反省会はもう「お疲れさま会」でも「犯人探し」でもなくなります。最初は付箋がうまく出てこなくても大丈夫。回を重ねるほど、チームは本音を出すのが上手になっていきます。

反省会チェックリスト(そのまま使える版)

反省会の準備から締めまで、進行役が手元に置いて確認するための一覧です。全部を一度で完璧にやらなくて構いません。まず「これだけは」の3つから押さえてください。

最低ライン(これだけは)

この3つがあれば、反省会は次につながります。以下は推奨——チームと時間に合わせて、できるところから。

推奨(できる範囲で)

埋まらなかった項目は「次回やってみる」でかまいません。反省会そのものも、KPTで少しずつ育てていけば大丈夫です。回すほど、自分のチームに合った振り返りの形になっていきます。

よければ、こちらも

反省会で持ち帰ったTryは、次の案件の準備・見積・進行にそのまま効いてきます。振り返りを孤立させず、前後の工程とつなげておくと、同じ苦労を繰り返さずにすみます。

振り返りを終え、次の案件へ前向きに歩き出そうとするイベント制作チームの明るい表情

反省会は、うまくいかなかったことを裁く時間ではありません。今回の現場でみんなが感じたことを、次に困らないための一手に変える時間です。最初から全部を引き出せなくて構いません。良かったことをひとつ認め、困ったことをひとつ次のTryに変えられれば、その会はもう十分に成功です。

本番をやり切ったあなたとチームは、次に活かせる気づきを、もうたくさん持っています。それを1枚に残して、次の案件の最初に開く。その小さな習慣が、あなたの現場を一案件ごとに、静かに強くしていきます。

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