本番前のバックヤードで、届いた弁当の箱を長机に並べながら、手元のリストと見比べて数を確かめているイベント制作ディレクター

イベントのスタッフ弁当・ロケ弁の手配|食数表で数え漏れない段取り

「すみません、照明さんの分のお弁当、ないみたいです……」

本番の日の昼。バックヤードで箱を数え直したら、2つ足りない。午前中ずっと仕込みを手伝ってくれた人たちに、「先にどうぞ」と言いながら、自分の分はあとでコンビニに走ろうかな、と考える。あの数分は、地味につらいものです。

スタッフ弁当(ロケ弁)は、イベントの手配のなかでは目立たない仕事です。でも、食べるタイミングを逃すと、午後の現場の空気がはっきり変わります。そして足りない・余る・届かないの原因は、注文の仕方よりも、ほとんどが「数え方」と「受け取ってから回収するまでの段取り」にあります。

ここは、担当者の気配りが足りないから起きるのではありません。人数も時間も直前まで動く案件で、毎回ゼロから数えているから起きるだけです。

この記事では、スタッフ弁当の手配を、食数表の作り方から当日の配り方・片づけまで、明日の案件でそのまま使える順番で一緒に整理していきます。

結論:スタッフ弁当は、お店を選ぶ前に「誰の分を・いつ・何食」を表にすると漏れが減ります。
① 食数表を作る——縦に人の区分(自社・協力会社・運営スタッフ・出演者)、横に日付と食事の回(昼・夕など)を並べて、マスを埋めます。
② 協力会社・派遣の分は「込みか別か」を確かめる——二重注文と注文漏れは、ほぼここで起きます。
③ アレルギー・食べられないものを先に聞く——数と一緒に、人ごとの事情を集めておきます。
④ 締切と変更期限を香盤に書く——数の確定日・キャンセル期限を、制作スケジュールに入れておきます。
⑤ 受け取り・置き場所・配り方・ゴミまで決める——温度と時間に気を配り、食べ終わったあとの回収まで段取りに入れます。

※弁当の消費期限や保存方法の指示は、お店によって異なります。食品の扱いは発注先の案内に従い、会場の飲食ルール(飲食できる場所・ゴミの扱い)は会場規定でご確認ください。

スタッフ弁当で、何が起きやすいのか

まず、どこでつまずきやすいかを並べておきます。どれも珍しいことではありません。

1. 数が合わない

2. 誰が頼むのか曖昧

音響・照明・映像などの協力会社が、自分たちの分を自分で用意するのか、こちらで用意するのか。派遣スタッフの食事は契約に含まれているのか。ここが曖昧なままだと、同じ人の分を2つ頼むか、誰も頼まないかのどちらかになります。

3. 届いたあとが決まっていない

弁当は届きました。でも、どこに置くか、いつ・誰が配るか、食べ終わった容器はどこに集めるか——そこが決まっていないと、受け取った人がその場で考えることになります。

4. 食べる時間がない

本番の進行が押して、昼の休憩がなくなる。弁当は届いているのに、配る人も食べる人も持ち場を離れられない。気づけば15時、ということもあります。

食数表を作る(いちばん効く一手)

最初にやるのは、お店を選ぶことではありません。誰の分を、いつ、何食——これを表にすることです。

縦に人の区分、横に日付と食事の回を並べた表を1枚作ります。

区分(人数)仕込み日・昼仕込み日・夕本番・昼本番・夕(撤収前)
制作(自社)4名4444
音響・照明(弁当は当社手配)8名8888
運営スタッフ(派遣・食事は当社手配)20名——20—
設営会社(弁当は先方手配)————
合計12123212

※人数・区分は説明のための例です。

マスを足すと、この例では12+12+32+12=68食。単価を1食1,000円(仮)とすると、68食 × 1,000円=68,000円です。お茶などの飲み物は、弁当とは別の行で数えておくと、あとから増減を見やすくなります。

※単価・金額は説明のための仮の数字です。地域・お店・内容で変わります。

表にすると、次のことが自然に見えてきます。

スタッフ弁当の段取りを左から4つの場面で並べた図。名簿を見て数を数える場面、電話で注文する場面、搬入口で弁当の箱を受け取る場面、食べ終わった容器をゴミ袋に集める場面
数える→頼む→受け取る→回収する。弁当の手配は、食べ終わった容器を片づけるところまでがひとつながり。

協力会社・派遣・出演者の分は「込みか、別か」を確かめる

食数表の区分ごとに、確かめたいことは1つだけです。

その人たちの食事を、誰が用意するのか。

ここを確認するだけで、二重注文と注文漏れのほとんどが防げます。

アレルギー・食べられないものは、数と一緒に聞く

食数を集めるときに、食物アレルギーや、宗教・体質などで食べられないものがあるかどうかも一緒に聞いておきます。あとから個別に聞くより、最初の案内に1行足しておくほうが、聞くほうも答えるほうも楽です。

対応できない場合は、無理に用意せず「この日は各自でお願いできますか」と早めに相談するのも、誠実なやり方です。

締切と変更期限を、制作スケジュールに入れる

弁当の数は、たいてい直前まで動きます。だから、いつ数を確定するかを先に決めておきます。

この3つの日付を、制作スケジュールに書き込んでおきます。「弁当の数、確定しましたっけ」と前日の夜に気づく、ということがなくなります。

受け取り・置き場所・配り方・ゴミまで決める

当日の段取りも、紙の上で先に決めておきます。決めておくのは、次の4つです。

1. 受け取り:誰が・何時に・どこで

配達の時刻と受け取り場所(搬入口、楽屋口など)を決め、受け取る人の名前をスタッフ配置表に入れておきます。会場によっては、配達の車の入構や駐車に申請が必要なこともあるので、会場規定で確かめておきます。

2. 置き場所:涼しく、人目につきにくいところ

直射日光の当たる場所や、暑い屋外テントの中に長く置かないようにします。とくに気温の高い時期の屋外イベントは、置き場所と配るまでの時間に気を配りたいところです。受け取る時刻を、食べる時刻に近づけるのがいちばん確実です。お店が示している消費期限や「お早めにお召し上がりください」の目安は、受け取ったときに確認しておきます。

3. 配り方:交代で食べられるように

本番中は全員が一度に持ち場を離れられません。香盤表や配置表に休憩の交代枠(Aグループ12:00〜、Bグループ12:40〜など)を入れておくと、弁当を食べる時間が「空いたら食べる」から「決まった時間に食べる」に変わります。持ち場を離れにくい人には、手の空いた人が届けに行く段取りにしておきます。

4. ゴミ:空き容器と残った弁当の行き先

食べ終わった容器を会場で捨てられるのか、持ち帰りなのか。分別のルールはどうか。回収用のゴミ袋と置き場所を先に決めておけば、撤収のときに容器があちこちに残りません(ゴミ・廃棄物の処理)。残った弁当の扱いは、時間がたったものを持ち帰らない・取り置かないなど、お店の案内に沿って決めておくと安心です。

段取りが抜けると、どう効いてくるか

弁当は、1食ずつは小さな金額です。でも、抜けたときの影響は、金額よりも現場の流れに出ます。

逆に、弁当がちゃんと届いて、決まった時間に座って食べられる現場は、それだけで空気がやわらかくなります。「ごはん、ちゃんと出る現場ですよね」——協力会社のスタッフがそう言ってくれるのは、地味ですが、次の案件にも効いてくる信頼です。

明日やること:3つだけ

次の案件で、まずここまでやっておけば十分です。

1. 食数表を1枚作る(15分)

縦に区分、横に日付と食事の回。「先方手配」の行も残します。

2. 協力会社への人数確認メールに、2行足す(5分)

「スタッフ弁当は当社で手配します(または:各社でご用意ください)」「食事で配慮が必要な方がいれば教えてください」。

3. 制作スケジュールに日付を3つ書く(5分)

協力会社の人数締切、お店の注文締切、変更・キャンセル期限。

それだけで、本番の昼に箱を数え直してヒヤッとすることは、ずいぶん減ります。

スタッフ弁当 手配チェックリスト

上から順に全部やる必要はありません。忙しいときは「まずここだけ」の2つで十分です。

まずここだけ

手配まで

当日

最後に

制作ディレクターは、本番の日、たいてい最後に食べる人です。全員に行き渡ったのを見届けてから、冷めた弁当を立ったまま急いで食べる。それもまた、現場の仕事のうちかもしれません。

でも、表を1枚作って数を確かめておけば、少なくとも「足りるかな」と心配しながら箱を数える時間はなくなります。その分、自分も座って、ちゃんと食べてください。午後の判断は、おなかが落ち着いているほうがずっと冴えます。

まずは次の案件の食数表に、「先方手配」の行を1本足すところから始めてみませんか。

本番の合間のバックヤードで、制作ディレクターと協力会社のスタッフたちが長机を囲んで座り、弁当を食べながら笑顔で談笑している様子
決まった時間に、座って食べられる現場は、それだけで空気がやわらかくなる。

よければ、こちらも

スタッフ弁当は、人の数え方や協力会社との取り決め、当日の配置とつながっています。前後をあわせて見ると、抜けが減ります。

関連用語


本記事はイベントにおけるスタッフ弁当(ロケ弁)手配についての一般的な実務ノウハウの整理です。記載した人数・単価・金額は説明のための仮の数字です。弁当の消費期限・保存方法・アレルギー表示はお店によって異なるため、発注先の案内に従ってください。会場での飲食・配達車両の入構・ゴミの扱いは会場規定によって異なります。最終的な判断は会場・各事業者にご確認ください。